税理士の業務 パート2
平成13年改正において、税理士が裁判所において補佐人となる制度が創設されました。税理士は税務訴訟において、補佐人として弁護士である訴訟代理人とともに裁判所に出頭し、陳述をすることができることになりました。かつては、税理士が出廷するには裁判所の許可が必要でしたが、改正によって裁判所による許可が不要になったのがポイントです。
従来は、税理士の出廷が申請されても裁判所は許可せず、却下する例が多くみられました。税理士は法律家としては不十分であるとされていたものと思われます。また、弁護士に税理士資格があるために、税理士を補佐人とする申請を却下しても、建前上は不都合がないとされていたのでしょう。結果的に、税理士が保佐人として出廷し、税務訴訟に関われる機会はあまりありませんでした。
しかし、これには不合理で不公平な面もありました。たとえば、国税側と市民の間で税金をめぐる訴訟が起こったとします。市民の側につく税理士は税務訴訟には参加できませんでした。一方、国税側は訟務官が訴訟に立ち会うことになります。弁護士には税理士資格があるとはいえ、弁護士は税の専門家ではありませんから、税の専門家が出廷できない市民の側が不利であるのは否定できないでしょう。
いずれにせよ、税理士が税務訴訟において保佐人として法廷に出頭し、陳述が行えるようになったことで、税理士の業務は広がったといえるでしょう。また、これまで以上に、弁護士との人脈作りが大切になったと思われます。
・会計参与
税理士の新しい業務として、「会計参与」についても触れておきます。
既に成立し、平成18年に施行される新会社法では、会社の機関として、会社の計算書類等を取締役と共同して作成する「会計参与」が新設されました。計算書類がしっかりしているかは融資を受ける際などにも大きく影響してきます。従って、会社の経営上、会計知識の乏しい中小企業等でも信頼性の高い計算書類を作成する必要性があります。会計参与が機関として加わることによって、計算書類の信頼性を高めようというのが狙いです。
この会計参与になれるのは公認会計士と税理士のみです。税理士に新しい可能性が生まれたと言っててよいでしょう。
・税理士法人
ここまでは税理士の業務について概観してきましたが、税理士の新しい可能性である、「税理士法人」についても触れておきます。
現在は、税理士法人の創設も認められています。税理士事務所でなく、税理士法人を営むことのメリットはいくつかありますが、ここでは詳細は省略します。個人商店と、会社組織の違いに近いイメージだと思います。
税理士法人と税理士事務所の大きな違いを一つだけあげておきます。税理士法人は、支店を置くことが出来るのです。全国各地に支店を置いて大規模に展開することも可能になってきます。ただし、支店を設置する場合、必ず支店にも税理士を常駐させなくてはなりません。
ちなみに、税理士法人の社員(出資者)には税理士しかなれないので、税理士法人を設立できるのは税理士だけということになります。
法人化で税理士の魅力が更に増したのは言うまでもないでしょう。
税理士の業務について詳しく知りたい人は以下のページを参考にするといいと思います。
日本税理士会連合会
http://www.nichizeiren.or.jp/
国税庁の「税理士関係情報」のページ
http://www.nta.go.jp/category/zeirishi/kankei.htm